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3学期 by月夜猫


 小さな世界
月夜猫
 空には三つのお月さま。
 淡いピンクの満月に、青白く濃い半月と
 最後はいつも泣いている 姿を見せない黒い月
 太陽はここにありません
 でも、月が三つあるので 太陽は必要ありません
 深い深い 綺麗な夜を 月はほのかに照らします
 暗い暗い 惨めな闇を 月はやっぱり照らします
 太陽は私には眩しすぎて
 全て見透かす柔らな光
 全て照らしてしまう強い「陽」
 それから私は逃げました。
 一つしかないものなんて、嫌で
 私は一つしかないものを消しました。
 それは、私の臆病だったのかもしれません
 失うことが、怖くって
 つくらなければいいのだと。
 何かに甘えたくてたまらない
 弱い私はなぜここに?
 手に手を取り合う仲は
 とても脆弱で近づけない。
 壊れる事が怖いから
 変わる事が怖いから
 私は今日もゆらゆらり
 言い訳、嘘がぺらぺらり
 貴方に嫌われたくなくて
 貴方が離れてほしくなくて
 相手を気遣う嘘なんて 私の口から出やしません。
 出るのは、保身の嘘ばかり
 ねえ、月が綺麗ですね。
 ねえ、そうだと言ってくれませんか。
 ねえ、どうして誰もいないんですか。
 私が入ることを許さないから。
 こんな私の中に入ろうと
 ノックの音が聞こえました。
 私はそれを無視しました。
 また、ノックの音が聞こえました。
 ある時、私は外に出て ずっと立ち話をしたのです。
 話していると、楽しくて。
 だけれど、それでも、私はやはり
 また会う約束をして、その人を中に入れませんでした。
 いろんな人が通り過ぎます。
 ほとんどの人は気づきません。
 その中に太陽がないことも
 月が三つあることも
 ずっと夜であることも。
 ああ、カササギ、私のカササギ
 小舟に乗って 羽を被って
 どうか、唄を私に。
 銀の海に頼りなく 揺れる鳥籠、ぎこぎこと
 歪な旋律を、どうか私に。
 それを聞いて 静かに沈み
 私は海に溶けていく。
 遠くなる歪な旋律と
 それは少しの安心感。
 悲しいことがありまして
 憎いこともできまして
 忘れたいこともありまして。
 手放すことができたなら
 それはどんなにか素敵でしょうと
 私は今日も泣くだけです。

 ああ、今日も月が綺麗です。
 私の中で、それに同調してくれる
 そんな人など要りません。
 ただ 願ってもいいのなら
 月が一つの外の世界で
 チョコレートでも一緒に食べてくれる
 そんな人が いいのです。





あとがきー
 はいぶっ放しました。とりあえず何がやりたかったんでしょうね。自分の中の世界でしょうか。己の意思でしょうか。決まった事はわかりませんね。なんだかいろいろトチ狂っておりますが気にしないでください。
 文芸部誌「海琴」を手に取っていただき、そしてこんな月夜猫の作品をお読みいただき、誠にありがとうございました。
 二〇一四年の幕が開きましたが、今年も文芸部誌部員ともどもどうかよろしくお願いいたします。



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